厳しい局面を英知と努力で乗り切る


【厳しい局面を英知と努力で乗り切る】

 新年明けましておめでとうございます。
 昨年のこのページでは、米大リーグ・レッドソックス松坂大輔投手のことを書きましたが、今年は作年暮れ、オリンピックアジア地区予選で韓国、台湾など強豪をみごと撃破し、北京オリンピック出場権を得た星野ジャパンについて触れておきましょう。
 星野仙一氏は、監督の中の監督です。星野氏がNHK解説者として活躍中のとき、野球の現場を離れてもなお「監督、監督……」と慕われ尊敬されました。星野氏は、まさに“監督の中の監督”なのです。その星野氏が率いる星野ジャパンは、今夏の北京オリンピックでは必ず金メダルを獲って世界一に輝く、と確信しております。


消費者保護最優先政策への対応

 今年は、不動産業界においては消費者保護最優先の流れであり、また、公益法人制度改革をむかえる年でもあります。なかんずく会員の皆様には徹底した研修メニューをお示ししながら事業実施していきたい、というのが私の考えです。
 一つには、耐震偽装問題を契機として、品確法の新築住宅に対する10年間の瑕疵(かし)担保責任を確実にするため、事業者に将来の賠償金を供託あるいは保険のかたちで確保することを義務付けた瑕疵担保履行法(本誌平成19年7月号に詳細記事掲載)が昨年の5月30日公布されました。法律の施行は平成21年11月とみられます。
 予定どおりこの法律が施行されると、買主に建物を引き渡した場合に、平成22年3月31日に最小限でも「2000万円~3800万円」の範囲内で同法施行令に定める額の<住宅販売瑕疵担保保証金>を自己事務所の最寄りの供託所に供託しなければならない、としています。もちろん保険の形式もありますが、不動産業者が売主となり新築住宅販売業務をすすめるためには、上記法律の十分な理解を踏まえた上での対応と決断が迫られます。
 6月20日施行された改正建築基準法についても消費者保護優先の流れといえます。
 昨年の9月30日以降、金融商品取引法は金融商品により厳しいリスク開示を求め、取扱業者に係る規制を強めました。これも明らかに消費者保護優先の政策です。
 また昨年、宅建業者・建設業者の行政違反の履歴、ネガティブ情報について、行政は情報公開に踏み切りました。
 更に判例によれば、消費者契約法第四条に関連し、「不実告知」についても消費者保護優先が色濃く出ています。これら判例が示すとおり、本年もこの流れは変わることはない、と思われます。
 このような業界周辺環境の流れから、今まで以上に消費者保護が強く求められ、このことをしっかりと認識し踏まえて、協会活動に取り組むことを今年の基本方針とすることを表明させていただきます。当協会は消費者保護最優先を掲げ、会員のための研修を行います。


福祉・医療行政の問題点

 障害者自立支援法が本格実施されて間もなく1年になろうとしています。神奈川県においても障害者福祉のグランドデザインを発表し、自立支援、地域生活支援推進に向けて政策を検討されるなか、平成19年度には、民間社会福祉施設運営費補助金を25%カットし、新たに地域生活サポート事業を実施するようになるなど大きな変化をむかえています。福祉事業に携わる方々は大変な厳しい認識をもっております。
 昨年12月、講師に炭山嘉伸・前東邦大学医療センター大橋病院院長を講師に招き、「わが国の医療の現状とその問題点」と題した消費者セミナー(全日神奈川県本部主催,神奈川新聞社後援)を開催しました。
 炭山講師は、「日本の医療は世界の最先端をいっているにもかかわらず、わが国の医療費は先進7ヵ国の中で最低水準である。高齢化社会に向け国の補助が不可欠」、また医療現場では、「医療事故による刑事訴訟が増加している」これらを踏まえ、「人手不足とそれによるモチベーションの低下」と医療現場の現状が訴えられました。
 医療事故による刑事訴訟の増加については、本来ならば第三者機関をつくり、問題提起は「警察ではなく、第三者機関において精査し判断できる仕組みが必要」と主張されました。現状では、医療関係者、患者側、一般市民までもが十分納得できる結論には至っていない、のみならず医療従事者のモチベーション低下にも大きく関わっているのではないでしょうか。
 これまで多く消費者セミナーの主催者として関わってきましたが、今回の炭山講師のお話には特に深い感銘を受けました。医学界でこのような切実な問題があるとは知りませんでした。しかも私たちにとっても“明日はわが身” の身につまされる問題でもあるわけです。
 炭山先生が医療現場で責任あるお立場でありながら、今回のセミナーにおいて消費者に真摯(しんし)に語りかけられた意義は大きく、私たちはその勇気ある姿勢に見習うべきことが多々あったように思われます。主張すべきは堂々と主張しなければ、何れその責は自らが負うことになり、やるべきことをなし、ありのままの姿を示す事で真実への理解も深まることになります。わが協会も私たち事業者も、立場や状況を弁解するような話ではなく、臆することなく問題点を提起して、消費者が不動産をより購入し易く、より適正な価格で家が持てる状況をつくりあげることが、何よりも肝心と感じます。


不動産保証協会の現況

 保証協会の3大主幹業務は、①苦情解決業務、②研修業務、③弁済業務です。
 苦情解決業務については、苦情受付件数が平成16年度、17年度、18年度は400件台でした。さかのぼっての数年度間は、600件台、700件台ですから大幅に件数が減少しています。
 弁済業務における認証額は、平成16年度2億円台、17年度、18年度は1億円台で、14年度3億7000万円台と比べ苦情受付件数同様に大きく減少しています。
 入会者数でみてみると、平成16、17、18年度は純増で800社前後、昨年9月末現在で、総会員数(正会員)が2万5000社を超えるにいたっております。13年度がマイナス2社であったことを思えば、青天の霹靂(へきれき)の感があります。
 会員の皆さんからお預かりしている弁済業務保証金分担金残高は、160億円になりました。
国債運用益の推移をみると、単純平均利回りで平成16、17、18年度は1.4%に回復しています。前年の15年度は1.1%でした。
 弁済業務保証金準備金残高は、平成16年度16億8千万円、17年度17億9千万円、18年度19億6千万円と、前年度と比較して1億円以上の増加をみております。
 これら苦情解決、弁済両業務の推移からすると、平成16、17、18年度はすべての面で改善されています。とりもなおさず、不動産業界も好況であったことの証左でもあると考えられます。


今年の政治・経済・業界を占う

 しかしながら本年(平成20年度)は、昨年種々述べてきたサブプライムローン、改正建築基準法、原油価格の高騰、石油価格に伴う諸物価の上昇、社会的不安を増長する年金問題、米・中両国の対応が注目され世界的議論を巻き起こした環境悪化問題等々、目まぐるしい年になるであろうことは容易に推測されます。
 政局においても、衆議院は自公、参議院は民主野党連合のねじれ現象が起こり、衆・参院で別々の法案が通ることになります。このことを“分立国会”と称した人もいます。
 政治、経済、環境の各分野に医療、福祉の分野で,それぞれが厳しい試練の年となる、と考えています。しかし先行き不透明感の払拭には、不断の努力と的確な判断が求められます。
 平成20年を素晴らしいよい年にするため、より一層の尽力と会員の皆様とともに歩むことをお約束して、年頭の挨拶といたします。


(社)全日本不動産協会 神奈川県本部
本部長 中村 直利


| 投稿時間 : 2008年02月04日 13:17

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